物価が上がり始め、電気代が上がることが決まりました。
家づくりにおいてもウッドショックが落ち着くや否や、建築資材の値上がりが続き、価格が上がってきています。
そんな状況にあって、家づくりにおいて近頃思うことをなんの脈略もなしに書いておこうと思いました。
1.それでも高性能住宅推し
スタンスといいますか、立ち位置を明確にした上でまとめる方が分かりやすいと思います。
価格高騰の現状にあっても「高性能住宅推し」です。
それは、そういう家に住んでいるからという置かれている立場もあってのものです。
がっつりのポジショントーク。無責任発言です。
2.近頃の違和感
なぜ無責任にも思うことをまとめようと思ったのか。
近頃、違和感があるからです。
その違和感はある種ブームというものが過ぎ去ったからなのかもしれません。
私たちが家づくりについて勉強し始めてからあっという間に数年が経ちました。
この数年の間に
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による一時的な経済活動のストップ、程なくして有名建築家や有名工務店からの情報発信量の増加が顕著にありました。
その勢いは、断熱義務化の流れにも動いていったように見受けられたものでした。
某YouTubeチャンネルでは「断熱等級7はいらないという人がいるが、断熱の終点を目指さなきゃダメなんだ」と発信されていますが、それも過去のことになろうとしています。
断熱義務化が達成されたからではないと思いますが、コロナが落ち着いたからか、最近、発信の量やペースが落ち着いてきました。
断熱や気密について語る真新しさがなくなり、語ることも無くなっていってるのかもしれません。
このような動きを「住宅の性能の中に温熱も仲間入りした証拠にもなっているのかも?そうだったら嬉しいな」と思いましたが、違和感が残りました。
3.違和感はどこから
この違和感はどこからきているのだろう?
もう新居に住んで、家づくりへの熱が冷めたから?
そうじゃない気がする。
今もTwitterの家アカを持ち、思ったことを発信していますが、違和感があってつぶやく量が減りました。無自覚に変なことを言いそうな気がしていました。
少し時間をかけて整理すると、この違和感は、高性能住宅は元が取れないという発言に代表されるものから派生して、
断熱はほどほどで良い
という主張から来ているのだと思いました。
まだ、ちょうどいい塩梅を議論できるタイミングですらないぞ?というのが違和感の一つにあります。
4.観点の違い
イニシャルコストではなく電気代などを含めたライフサイクルコストで考えると高性能住宅に軍配が上がる!
という宣伝文句に対し、
(電気代の試算等を武器に)それは嘘だ!騙されるな!!断熱してもそんなに変わらないし、元は取れない!
という主張。
この構図はよく理解できます。
一方で、
断熱はほどほどで良い!
は別の話だと思うのです。
「断熱しても元は取れないから、断熱はほどほどでいいんだ」
は、一見正しく見えますが、そこに至る歴史への配慮というか、視点があまりにも短絡的に見え、違和感を覚えたのだと思います。
様々な要因が絡み合う家づくりにおいて、コストや電力需要の緩和などの一観点でもって鬼の首を取ったように発言できるのか?という疑問と言っても良いかもしれません。
5.まだまだ発展途上
そもそもの話ですが、日本の住宅の温熱性能があまりにも低いという問題が先にあって、その改善に向けた取組みがこの10年くらいで進んできたのであって、まだ発展途上にあると思っています。
確かに断熱義務化が決まり、大手HMが断熱等級7の商品を発表し始めました。
ただ、これで問題解決ではないのです。
やっとここまできたのだという感じだと思います。
それが当たり前になって、施主の勉強することが減っていくまでは終わりにはならないと思います。
温熱環境の改善という課題解決のためのチャレンジの歴史があって、その過程で失敗もあったり、うまくいく方法が見つかったりしながら進んできたのは想像に難くありません。
その経験が広がるからこそ、多くの人の目にとまり、多くの方が選択するからこそ、建材が多く製造され、少しずつ安価になっていくのだと思います。
樹脂サッシの普及による価格の低下は良い例でしょう。
まだチャレンジは続いていると思いますし、これから「断熱したのに寒い」などの問題がどんどん出てくると思います。(断熱だけじゃ寒いのは当然ですが、現状、家づくりを勉強するという珍しい方々の集まるTwitterの家アカですら外皮性能の値やグレード、気密測定の数値でのやり取りが主である状況を見るとまだまだ一般化までは遠いとさえ思います。)
やっと高性能な住宅が普及し始めたタイミングで、安価で提供してもらった立場からすれば、これまでに取り組んできた方やこれまでに信じて建てた方に感謝こそすれ、自らのコストメリットという点だけで「性能はほどほどで十分っすよ!」なんて言えないなぁと思うわけです。
「多くの家が快適な温熱環境になるために、断熱の終点を目指した家づくりをしておかないと、安価に提供する状態になり得ない」と考えていて、これから家づくりをする方にも快適さを手にしてほしいからこそ、「断熱はほどほどで十分だ」なんて言えないのです。
その想いは温熱環境の改善を目指すという方針に対して賛同して良かったという経験から来ています。(特に工夫せずとも楽に暮らせて幸せに思います。)
「家は性能」を掲げる一条工務店が多くの広告を打たずとも口コミで広がっていったのは、温熱環境の改善に対して価値を見出した方が多かったということの証左だと思います。
6.やっぱり高性能住宅推し
もしかしたら断熱等級6の家ばかりになっても今と電力消費量は変わらないかもしれません。
でも、同じ電力量で少しでも快適な環境で過ごせるならそっちの方がいいと思っています。
やっぱり高性能住宅推しです。
あそこまではやり過ぎ!と笑われてもいいです。笑うことができる人がいるくらいに安価に快適さを獲得できるようになってほしいですね。